北一硝子 [赤裸裸]
僕の祖母は今年の一月に亡くなった。享年八十六歳。
長年、同居していた祖母だった。
去年の秋から体調を崩していた。
当初は入院したものの病院が嫌いということで、在宅看護という形を本人が望んだ。
それから、医師と看護師資格のあるヘルパー二名、合計三名が家にたびたび来てくれていた。
一月十六日正午頃、僕は部屋で出掛ける用意をしていた。
母親が僕の部屋に来て、祖母が亡くなったことを告げた。
ちょうど、医師とヘルパーが訪問している時だった。
これまでに、祖父や祖母が亡くなったことはあったが、同居している人間を亡くすのは初めてだった。
火葬場で、お骨を見るのも初めてだった。
自分の家で生まれ、自分の家で死ぬということに何らかの意味があると思う。
共に、今では病院であることが多い。
現在、僕の後輩の女の子は在宅出産を希望しており、助産婦さんが訪問しているらしい。
本人には伝えていないけれど、他のどのような価値観にも変えがたい意味がそこにはあると思う。
社会的な生き物である人間として、最も大切にしなければならないものがあるように、僕は思う。
現実的には、難しいことだけれど。
祖母にとって僕は初孫ということもあり、可愛がってもらっていたと思う。
僕の誕生日の新聞を、僕が生まれた日から、毎年その日が来ると残してくれてもいた。
たくさんある遺品の中で、僕が譲り受けたものは「北一硝子」の灯油ランプ。
活発で旅好きだった祖母が小樽に行ったときのものだと思う。
このランプに灯りを灯すのが、僕のせめてもの責務だと思い、灯してみる。
暖かい色をしている。
北一硝子 素敵な話です。
切なくなりました
ランプの灯りが とても暖かい
by junsbar (2006-07-17 14:38)
「北一硝子」の灯油ランプの灯り、優しい灯りですね。きっと見守ってくださっていると思いますよ。この灯りのように・・・。末永く大事になさってくださいね!お写真も素敵ですよ。
by やまちゃん (2006-07-18 00:16)